ゼロから学ぶ採用ピッチ!初心者向けの作り方

■このページは2025年5月6日に投稿しました。

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近年、採用業界では「採用ピッチ」が注目を集めています。企業の魅力をわかりやすく伝える手段として、多くの企業が活用し始めており、採用活動における新たなスタンダードになりつつあります。この記事では、「採用ピッチとは何か」をまだ知らない方や、これから初めて作ろうと考えている方向けに、入門編としてその基本や活用ポイントをわかりやすく解説します。

採用ピッチとは?

採用ピッチとは、企業が求職者に対して、自社の魅力や採用ポジションの意義を伝えるために作成する会社説明資料です。
会社案内や事業紹介資料といった従来の広報ツールと異なり、採用ピッチは働くことに焦点をあて、求職者の理解や共感を促すことを目的としています。
そのため採用ピッチでは、仕事のやりがいやキャリアパス、組織文化、社員の声など、感情や価値観に訴える情報を言語化・視覚化し、求職者との接点で活用されます。説明会、面接前の事前送付資料、ダイレクトリクルーティングなど、さまざまなシーンで使われる求職者向けのプレゼン資料ともいえます。

採用ピッチが注目されている背景

採用ピッチが注目されている背景には、少子高齢化による若年人口の減少や転職市場の活性化があります。​
厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」によると、2023年の有効求人倍率は1.31倍と、求人が底堅く推移しており、また、リクルートの調査では、2023年度下半期に中途採用を「実施した・実施中」の企業の割合は79.5%と、かなり高い数値になっています。

このように、求職者が複数の企業を比較検討する前提となった現在、従来型の情報提供だけでは企業の魅力を十分に伝えることが難しくなっています。​その点、採用ピッチは企業の想いや独自性を端的に表現し、求職者の共感を掴むことができるため、注目されているといえます。

出典:厚生労働省|令和6年度版 労働経済の分析
出典:株式会社リクルート|中途採用実態調査結果(2023年度実績、正規社員)

採用ピッチを作るメリットは?

​​採用ピッチを作成して活用することで得られるメリットは、採用活動における様々な側面で効果を発揮します。企業側と求職者側の視点からどんなメリットがあるのか解説します。

企業側のメリット

個別最適ができる

会社の魅力を伝えるなら採用サイトで良いのでは、、と思う方もいるかと思います。
採用サイトは、会社のビジョン・仕事内容・社風・社員インタビューなどを掲載し、求職者に「どんな会社か」を伝える役割を果たします。検索されやすく、広く情報発信できるのが魅力ですが、そのぶん情報は「幅広く・網羅的に」なりがちで、1人ひとりの候補者にあわせて最適化するのが難しくなります。
一方、採用ピッチはターゲットや職種に合わせてカスタマイズできます。たとえば営業職向け、エンジニア向けなど、ペルソナに合わせて見せ方を変えられるのが最も大きな利点です。
採用サイトが企業の“看板”なら、採用ピッチは“営業資料”のようなイメージで捉えてもらえると良いと思います。

対話の中で活用できる

採用ピッチはスカウトメール、面談、面接前の資料など、求職者と直接向き合う場面で使われることが多いです。ツールの特性上、情報を一方通行に届ける採用サイトとは違い、例えば面談時に「この話、気になりますか?」など採用ピッチから双方向の会話が生まれるきっかけにも使えます。

社内メッセージの統一にも貢献できる

複数の面接官や現場メンバーが関わる採用活動では、「何をどう伝えるか」がバラつきやすいという課題があります。社内で採用ピッチを共通資料として用意することで、現場・人事が同じストーリーで候補者に向き合えるようになり、結果的に、採用担当者の労力軽減にも繋がります。

更新が簡単にできる

採用ピッチは、企業で一般的に使用されるツール(PowerPointやスライドシェアなど)を使い制作するため、専門的なスキルが無くても手軽に修正が可能です。「ちょっとここだけ情報を更新したい」「明日の面接までに修正したい」など、外部の制作会社に修正依頼をせずとも人事担当の方が簡単に修正することができます。

求職者側のメリット

コンパクトな情報量で、受動的でも理解が進む

採用サイトの場合、多くの情報が縦長に並んでおり、読むにはある程度の「能動的な探索」が求められます。一方で採用ピッチは、ストーリー性を持たせて順にめくって読めるので、自然と理解が進む構成になっていることが多く、読み手の負担が少ないことが特徴です。
最近では、Z世代を中心に「わかりやすさ」「テンポの良さ」を求める傾向が強まっているので、受動的でもスムーズに企業の特徴をつかめる点が魅力です。

メールで“ラフに”共有され、接触ハードルが低い

採用ピッチは、PDFやリンク形式で気軽に共有されることが多く、メールや企業によってはLINEなどから送付することができます。そのため、「とりあえず見てみる」というきっかけが生まれやすく、企業とのファーストコンタクトがより自然になります。受け身な求職者でも、ワンクリックで会社の情報に触れられることで、接点のきっかけを創出しやすくなっていることポイントです。

採用ピッチはどんなツールで作れば良い?

一般的に、採用ピッチはPowerPointやGoogleスライドを使って制作されることが多いです。
これは前述した内容と重複しますが、採用ピッチに掲載される会社情報は、組織改編や年度更新などで頻繁に内容が変わるため、数字の一部を修正したり、不要なページを削除したりといった軽微な更新が発生しやすいためです。
こうした修正作業を外部の制作会社に毎回依頼していると、コストや時間がかかってしまいます。その点、PowerPointやGoogleスライドであれば、専門的なスキルがなくても社内の人事担当者が簡単に編集できるため、制作の手間や費用を抑えることができます。

話題になった採用ピッチの事例

ここからは、話題になった採用ピッチの事例をご紹介します。

SmartHR(2022年)


出典:株式会社SmartHR
採用ピッチ資料の先駆けとして知られるSmartHRは、資料公開後に応募数が5.3倍に増加し、閲覧数は40万回を超えました。面談の質も向上し、採用活動全体の効率化に成功しているようです。

ミラティブ(2022年)


出典:株式会社ミラティブ
「採用候補者様への手紙」というタイトルで公開された資料は、企業の価値観やカルチャーを前面に押し出し、多くの共感を呼びました。特に企業文化へのフィット感を重視する構成になっています。

クックパッド(2024年)


出典:クックパッド株式会社
料理レシピサイトを運営するクックパッドは、採用ピッチを会社紹介資料に特化して、事業紹介や企業文化をわかりやすく紹介しました。

BASE(2025年)


出典:BASE株式会社
オンラインショップ作成サービスを提供するBASEは、エンジニア向けに開発環境や技術スタックを詳細に紹介した採用ピッチを公開しました。エンジニが知りたい技術的な関心を持つ求職者からの応募を増加させたようです。

まとめ

この記事では、採用サイトツールの一つである「採用ピッチ」をまだ知らない方や、これから初めて作ろうと考えている方向けに解説しました。採用ピッチはうまく使えば自社の魅力をアピールする最適なツールの一つですので、ぜひこの記事でご紹介したポイントを参考に、採用ピッチへの理解を深めてください!

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